アタラント号
1934年

ジャン・ヴィゴ監督
アンリ・セルッティ画

120x160cm  Aモデル  リトグラフ  布裏打ち

コメント
2本のドキュメンタリー、1本の中編、そして遺作となるこの長編のたった4本の作品しか残さなかった夭折の天才作家ヴィゴの傑作にして、フランス映画史に残る重要作品。 初公開時はタイトルが現在知られている「アタラント号」(L’Atalante)ではなく、「過ぎ行く艀」(Le chaland qui passe)とされ、そのタイトルが入った120x160の大判ポスターが2種類作られました。 しかし初公開当時この映画は不評で、短期間で公開打ち切りとなってしまい、ポスターも散逸してしまったので、初版ポスターはほとんど残っておりません。 でも両方とも映画の雰囲気をよく伝える素晴らしいポスターです。
こちらは無声映画の時代から活躍し、多くの名作映画ポスターを残したリトグラフの専門家セルッティの作品の中でも傑作中の傑作といわれているポスターです。 モーリス・ジョベールの主題歌の楽譜を川の波のように描き、主人公の若夫婦を乗せたアタラント号をその上に配した大胆なデザインのポスターで、時代を超越した映画ポスターの醍醐味があります。
コンディション
折り目に傷み、所々欠けもありますが、裏打ちで出来るだけ修復しました。 いずれにしろこのポスターは今までコンディションの良好なものは見たことがありません。 この状態でも数々の映画ポスターの画集で紹介されているものよりは良いコンディションです。 本当に古くて不幸な運命を辿ったポスターなので、生き残っていただけでも感謝。