中国・朝鮮・日本地図

リゴベール・ボンヌ
「百科地図帳」
1787年   パリ
銅版画
代表的な地図投影法として有名なボンヌ図法(ハート型をした世界地図)を発明したことで知られるボンヌ(1727年−95年)による中国、朝鮮、日本を含む極東図です。 昔から地図製作上の区分として中国、朝鮮、日本が一緒に描かれることが多くありましたが、ボンヌは単独の日本地図を発表しなかったので、ここでボンヌの描いた日本が見られることは重要です。

当時のボンヌは1773年にジャック・ベラン(1703年−72年)から王室付水路学者の地位を継承し、フランス地図製作のトップとしてフランスの最高機密に類する地理情報を知る立場にいましたので、この時代のフランスの極東図の最も進んだ形を見ることが出来ます。 またボンヌは近代的な地図製作者として、それまで見られたような過度に装飾的な意匠を廃し、より実際的な地図製作を推し進めたことでも知られています。

注目の日本は、それまでボンヌが採用していたベランが後期に制作したケンペルの日本地図を改良したものに近いずんぐりとした型から、ジョルジュ・ルイ・ル・ルージュ(1712年頃−80年)が形成したほっそりとした実際の日本に近い型に変更されており、より最新の情報を取り入れて地図製作に臨んでいたのが窺えます。

日本部分の拡大図。 当時としては最もほっそりとした形の日本です。