日本の貴婦人の輿

エドワード・カヴェンディッシュ・ドレイク
「古今旅行記集成」
1770年   ロンドン
銅版画
様々な旅行や冒険の記録を集大成した、言わば世界を知るための百科辞典的な旅行記が啓蒙主義の18世紀にはいくつか編まれています。 ドレイクの「古今旅行記集成」は、コロンブスやマゼランの時代から当時の最新の旅行記まで、時代的に多岐に亘っているのが特徴で、地図に加えて59枚の図版が収められています。 この版画は1768年の初版から2年後に出版された第2版のものです。

版画の題名は「日本の貴婦人たちによって使われたセダン」、つまり「大名や公家の女性たちが乗っていた輿」ということですが、こういう乗り物は見たことがありません。 輿は人が担ぐもので、車輪は付いていません。 車輪が付いていて人が動かす乗り物だと、日本の偉大な発明である人力車がありますが、人力車は明治の初め頃出来たものですし、押すのではなく引くものです。 一番近いものは、当時ヨーロッパにあった手押し車ですが、手押し車には普通は人を乗せません。 未知の世界への想像から、何だか色々なものが頭の中で合体して偶然出来てしまった架空の乗り物のようです 。