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ピエール・ジョセフ・ビュショー
「中国ヨーロッパ美花彩色図譜」
1776年 パリ
手彩色銅版画 |
西洋植物図譜史上の奇書のひとつ。 ヨーロッパの植物画の世界に突然登場した中国趣味(シノワズリ)溢れる奇怪な図版は今でも衝撃的です。
ビュショー(1731年−1807年)はロレーヌ地方の首府メスに生まれ、法律と医学を学び、28歳でポーランド王の侍医にまで上りつめました。 しかし博物学、特に植物学に対する抜き差しならぬ興味が官職を捨てさせ、ビュショーを著述・出版の世界に飛び込ませました。 当時としては膨大な数の論文、著作を発表しましたが、もともと才気はあるものの、目立ちたがりの性格であったので、大衆の目を引くため、時に非科学的で興味本位の記述も多く、他人の著述からの剽窃もあったことから、当時のメインストリームの学問の世界からは無視をされ続けました。
同時代のイギリスのジョン・ヒルと並ぶ奇人のひとりと言われていますが、だからこそ誰も考え付かなかった異色の植物図譜「中国ヨーロッパ美花彩色図譜」が生まれたと言えます。 この図譜は前半が中国編100図、後半がヨーロッパ編100図という構成になっており、特に見所は前半の中国編です。 中国在住の貿易商から入手したと言われる中国の絵をコピーし、そこにヨーロッパの古い絵画様式である黄色い枠を配し、さらには漢字による中国名を縦書きにして記しました。 漢字を理解しない西洋人が模様として逆版で彫っている漢字の植物名なので、これはこれで見物です。 衝撃を与えるピクチャレスクな配慮はあったと思いますが、それでもそのままコピーすることで、ヨーロッパ絵画にはない絵画様式がヨーロッパ的なスタイルを借りて植物図譜の世界に突然現れたのです。 背景を塗りこみ、動物や昆虫、あるいは奇怪な岩をあしらった風変わりな図版は、当時のヨーロッパの優雅にデフォルメされたシノワズリにも一石を投じる問題作でした。 ヨーロッパ編は中国編ほどの新奇さはありませんが、それでも中国編に対応するように力強い作風になっています。 ヨーロッパ編は中国編と同じ黄色い枠が配されていますが、植物名は記されていません。
ヨーロッパ初の東洋的スタイルをもつこの素晴らしい植物図譜も、一部の好事家からは注目されましたが、当時から学問の世界では相手にされませんでした。 しかし20世紀になって植物画に美術史的考察と研究が行われるようになり、この植物図譜は他に類をみない画期的植物図譜として再評価され、今では当時を代表する彩色植物図譜として認知されています。
当店ではビュショー「植物界全史」(1775年−78年)の図版も在庫しています。 |
以下は半切サイズ(424x545mm)中華風ダブルベベルマット付きです。
マット色はクリームです。
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OBA17-1041 |
トキンイバラ
中国原産のバラ科キイチゴ属樹木 |
マット付き \196,900- (税込) |
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OBA17-1045 |
アジサイ |
マット付き \180,400- (税込) |
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以下は版画シートのみです。
写真はマージンをイメージサイズまでトリミングしてあります。
サイズはイメージサイズです。
マットはご希望により制作します。
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OBA17-1034 |
マツ
木の上の動物はリスのようです。 |
215x320mm
\82,500- (税込) |
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OBA17-1059 |
ロウバイ
ロウバイが紹介されている西洋の古い植物誌は他に見たことがありません。 |
215x320mm
\88,000- (税込) |
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OBA17-1095 |
モモ
これはモモというより「梅とウグイス」だと思います。 |
215x325mm
\181,500- (税込) |
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以下は版画シートのみです。
写真はマージンをイメージサイズまでトリミングしてあります。
サイズはイメージサイズです。
マットはご希望により制作します。
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OBA17-2096 |
クサキョウチクトウ |
215x320mm
\110,000- (税込) |
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