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オーギュスト・ピラムス・ド・カンドル
「多肉植物図譜」

(1798年−1829年)   パリ

多色刷スティップル銅版画手仕上げ
この「多肉植物図譜」は王室に近い高貴な植物学者シャルル・ルイ・レリティエ・ド・ブリュテル(1746−1800)が企画し、テキストを当時パリで活躍を始めたばかりの若きスイス人植物学者カンドル(1778−1841)に依頼しました。 レリティエ・ド・ブリュテルが1800年に暗殺されてしまったため、カンドルはこの植物図譜の編纂に深く関わることになりますが、事業は困難を極め、出版が断続され長期に亘ったので、その全容は未だに判明していません。 しかしこの植物図譜の出版が当時の博物学界の重鎮キュヴィエやラマルクの目に留まり、カンドルは植物学者としての名声を確立していくことになります。

さらにこの植物図譜で最も重要なことは、レリティエ・ド・ブリュテルが図版の制作者として、後に最も有名な「花の画家」となるピエール・ジョセフ・ルドゥーテ(1759−1840)を指名したことです。 ベルギー生まれのルドゥーテはパリに出てきてから、その才能をレリティエ・ド・ブリュテルに見出され、厚い庇護を受けて植物画家としての成功を掴んでいきました。

「多肉植物図譜」は初めてルドゥーテの名前がタイトルページに記された記念すべき作品で、またルドゥーテの代名詞である版画技法、多色刷スティップル・エングレーヴィング(点刻彫版)が初めて試みられた作品として極めて重要です。 幾つかの図譜では全く手仕上げの入っていない純粋な多色刷も確認されていて、植物書誌学の重鎮ダンソーンは「最も重要な作品で、版画技術の観点から見て、ルドゥーテの傑作」と絶賛しており、同じく重鎮のスタフルーは「植物図譜史の夢魔のひとつ」とまで述べています。

多肉植物は押し葉標本を作ることが困難なので写生図や図解が極めて重要なのですが、ルドゥーテは厚みがある植物を描くのに必要な透視画法に優れた才能があり、また採用されたスティップルという版画技法が立体表現に特に有効なものだったので、この「多肉植物図譜」は多くの専門家からの賞賛を集め、ルドゥーテの名前と彼のスティップル技法を世に知らしめる作品になったのです。

題材が地味な多肉植物なので有名な「バラ図譜」ほどの華やかさはありませんが、専門的には植物版画の歴史に残るルドゥーテの最重要作品のひとつです 。

ルドゥーテ作品はこの「多肉植物図譜」以外にも多数在庫しています。

以下は395x485mmダブルフレンチマット付きです。
マット色はクリームです。

  OBA14-12
Mesembryanthemum Coccineum
マット付き \93,500- (税込)
 

  OBA14-33
Crassula Portulacea
マット付き \77,000- (税込)
 

以下は版画シートのみです。
写真はシートのマージンをイメージサイズまでトリミングしてあります。

サイズはイメージサイズです。
マットはご希望により制作します。

  OBA14-19
Aloe Carinata
215x290mm

\44,000- (税込)
 

  OBA14-36
Mesembryanthemum Veruculatum
215x295mm

\22,000- (税込)
 

  OBA14-115
Sedum Rupestre
215x290mm

\33,000- (税込)
 

  OBA14-119
Sedum Saxatile
210x280mm

\13,200- (税込)