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アレクサンドル・ジョセフ・デジレ・ビヴォール
「ベルギー王立委員会果樹誌」
1853年−60年   ブリュッセル
手彩色リトグラフ
19世紀の半ば、ベルギーはヨーロッパでも一、二を争う植物研究栽培の中心地になっており、したがって優秀な植物学者、植物画家、図版制作者もそこに集まることになり、定期刊行植物図譜が次々に作られていました。 それらは当時の需要に合わせて小型の植物図譜として出版されることが多かったのですが、この果樹誌はベルギー王室の庇護を受け定期刊行のものとしては破格の大きさと仕様で作られ、また企画としても壮大なものだったので、現在では完全な形で残っているものはほとんどありません。

当時ベルギーではその気候に良く合った洋ナシの栽培や品種改良が盛んで、その第一人者は大学教授で栽培家のジャン・バプティスト・ヴァン・モンス(1765年−1842年)でした。 モンスはヨーロッパ人が熱狂したネットリとした食感のものなど40種以上の優れた品種を作り出し、ヨーロッパに洋ナシの文化を作ったと言われています。 この果樹誌を監修したビヴォール(1809年−72年)はモンスの後継者で、自身も優れた栽培家として新品種を作っています。 ビヴォールは一般の植物に比べて研究や紹介の遅れていたフルーツについて興味を持ってもらい、また正確な知識を伝えるべく様々な工夫をしていますが、図版においては果実の質感を表現するため立体感のある描写を心掛け、表皮のシミなども忠実に再現しています。 また時にはダメージのある個体まで描いています。 印刷が19世紀半ばの一時期にしか採用されなかった手彩色リトグラフであるのも魅力のひとつです。 洋ナシ以外にもベルギーを中心にヨーロッパで栽培されているリンゴ、ブドウ、スモモなど様々なフルーツを網羅したこの果樹誌は、長く果樹誌のお手本として参照されることになりました。

なおこの果樹誌の図版は当時としては異例の薄く柔らかい紙が使われており、そのためシワが出やすいのですが、その紙の質感でしか表現出来ない独特の沈んだ落ち着きのある色調が得られています。

以下は430x510mmダブルフレンチマット付きです。
マット色はクリームです。

  OBM20-1
Emilie Bivort
洋ナシ

ビヴォールの名前が付いています。
\56,650- (税込)
 

以下は版画シートのみです。
写真はシート全寸を表示しています。
シートサイズはおおよそ265x340mmです。
マットはご希望により制作します。

  OBM20-5
Pomme Duchesse de Brabant
リンゴ
\55,000- (税込)
 

  OBM20-6
Reinette d'Angleterre Petite ou Ancienne
リンゴ
\44,000- (税込)
 

  OBM20-7
Fondante des Bois
洋ナシ
\71,500- (税込)